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【成長し続ける企業になるための戦略】 第4回:採用戦略:実践編〜人が集まる募集・面接からリファラル・新卒まで〜

1.確率論で考えることが採用で成功する秘訣

第3回に続いて今回のテーマも採用戦略です。前回は理論編として給与、休日、福利厚生を柱とした労働環境を整備していなければ、応募が来るはずがないことを説明しました。第4回では、募集広告の作り方から面接までの採用フローに沿って採用率を高めるポイントを説明していきます。

その前に、肝に銘じておいてほしいことは「採用に秘策はない」ということです。それぞれのフェーズに求職者が応募先を選ぶ確率が高いポイントがあり、それらを地道に実践することがいちばんの近道なのです。

 

2.良い募集広告は「見出し」と「写真」で決まる

まず見出しのキャッチコピーで何を最優先に目立たせるかというと、前回お話しした給与、休日、福利厚生です。「和食の店」でも「独立志望者歓迎」「オープニングスタッフ募集」でもありません。どんなに格好の良いキャッチコピーにしたところで、「労働条件」について触れられているかどうかで応募者の数は大きく変わってしまいます。

その労働条件の書き方にも注意が必要です。やってはいけないのは「あいまいな表現」をすることです。よく求人広告で見かけますよね「高待遇・福利厚生充実」とか「月給20〜35万円」といったアバウトな表現や「応相談」という言葉。こういったあいまいな表現で期待を持つ人ははっきり言ってゼロ。むしろ「ごまかそうとしている」とすら思われてしまいかねません。こうしたお店の募集広告はぜんぶ読み飛ばされていると思ってよいでしょう。

ではどうすれば良いか。それは具体的に書くことです。「月8日休み」「給料25万円〜」と入社のタイミングで実現可能な下限数字で示すのです。そのぶん「スタートの段階でこの待遇なら納得できる」と思ってもらえる条件を設定することが大切です。

次に写真ですが、求人広告での写真の役割は安心感を与えて心理的なハードルを下げることです。とりわけアピールしたいのが職場の人間関係。「スタッフ同士の仲が良さそうだ、自分もすぐ受け入れられてもらえそうだ」という印象を与えることが第一の目的です。店内や料理の写真を載せている求人広告をまだまだ多く見かけますが、もうこれ以上言わなくてもわかりますよね(笑)。

さて、実際の写真の撮り方ですが、ユニフォームを着た3〜4人の男女スタッフが一緒に楽しそうな表情で写っている写真です。このとき、ひとりひとりの笑顔がはっかりわかることも大切。顔が見えなくなるくらい大人数の集合写真では効果が半減してしまいます。

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2-1.中途採用の応募が来やすい時期は3月〜6月

3月〜6月と9月〜11月は比較的応募が来やすい時期です。これを見るとボーナス支給月の3ヵ月ほど前から転職を検討しはじめ、ボーナスをもらった次のタイミングで次の職場にスムーズに転職するという流れが垣間見えます(苦笑)。逆にいくら求人広告を打っても反応が期待できない時期は8月と12月です。

媒体の選び方も気になりますよね。当社の印象ですが、東日本は「飲食店ドットコム」、西日本は「クックビズ」が比較的反応率が高いですね。飲食店ドットコムは東京、クックビズは大阪に本社がありますから、どちらも営業力の強いエリアで求人の量と質を確保し、それがそのまま応募の反応率につながっているといえるでしょう。

「エンジャパン」や「リクナビ」のような総合求人媒体もありますが、これらは全国から応募を募る大手企業向けといってよく、限られた地域の人に向けた求人を行う外食企業は考えなくていいでしょう。

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3. 応募のメールには即返信が鉄則

次に応募が来た人への対応についてお話ししましょう。「応募のメールに返信しても次の返事がない」「採用面接をブッチされた」という悩みを多くの外食企業のトップから聞きます。そもそもなぜブッチされるのでしょうか?理由は簡単です。即レスしないからです。応募のメールが来たら、すぐに返信することが大切で、遅くともその日のうちに返信しましょう。2〜3日も経っていたらもうアウトなんですね。

なぜでしょう?それは返信が遅れた2〜3日のうちに他の数社との面接が決まってしまったからです。求職者は当然ながら1社だけに応募するケースはまずありません。必ず3〜5社に同時に応募しています。そして早く返事が来たところから面接の予定が埋まっていきます。たいだい3社くらいの面接が決まると「これくらいでいいかな」という気持ちになりますから、それ以降の返信メールには反応してもらえなくなります。

ですから求職者の応募があったらすぐ返事を出すように心がけている外食企業も増えてきています。速攻で返事を送る会社が増えてきている状況で、返事までに何日もかかるような会社は、応募メールを送った求職者にどう思われるかというと「人の扱いがぞんざいな会社だからやめたほうがいい」と判断されてしまうんですね。実際はそうでないとしても、そのような印象を与えてしまうのです。

ときどき自動的に応募に御礼するメールが送信されるように設定しているところもありますが、相手もすぐわかりますから〝しないよりはマシ〟という程度でしょうか。

ではなぜ面接ブッチされるのか。もう言わなくてもわかりますよね?他社に決まったからです。一番最初に連絡がついて、一番最初に面接の日程を押さえて、一番最初に採用を出したところ以外はブッチされるということです。

ですから対策は1つしかありません。応募メールが届いたら即返信。そしてできるだけ早い面接日程を押さえるのです。

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3-1.メールと電話を組み合わせて面接ブッチを防ぐ

メールを見ないケースも出てくる。でも電話をすればつながる確率が高まりますよね。たとえば求職者がまだ退職する前だと、勤務しているわけですから面接できる日程が限られてますよね。そうなると応募から日数が経ってしまってお礼のメールと面接日程を伺うメール、これにお礼の電話を面接日程を調整する電話、これがベスト。もし相手が「忙しいんでメールにしていただけますか」と言われれば、そこからはメールだけにしても構いません。あとは面接日の前日に確認する。ホワイトカラーの会社だと1週間前、3日前、前日に確認します。

ポイントはしつこくない程度に丁寧さをアピールすることなんです。あと相手は忘れちゃうんでリマインドが大切です。

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4.面接は会社のことを知ってもらう場

無事、面接までこぎつけたからといって安心してはいけません。このセリフは求職者に向けた言葉ではなく、採用する会社への注意喚起です。「面接」の大いなる過ちは、面接担当者が「自分は選ぶ側であって、相手は選ばれる側。主導権は自分の側にある」という態度で上から目線で接してしまうことです。こんな態度で接してくる人の下で働きたいと思うでしょうか?雇ってくれるところはいくらでもあるこの時代に?答えはもちろんNO。むしろ、面接を会社のことを知ってもらって求職者に選んでもらうくらいの心構えが必要なのです。

その中で忘れずに伝えるべきことは、「入社して何年めで給料がいくらになるか、どんな役職になっているか」といったキャリアステップの事例です。「23歳で入社した子が、3年後の26歳で店長になって、給料がこれくらいになってるよ」といった具合に具体的に説明すると、会社の成長性も社員の成長性もイメージしやすくなるのです。

ところが多くの飲食店がこうした事例を提示しないで「頑張ったら頑張ったぶんだけ貰えるよ」と言ってるんですね。そんな言葉を素直に信じる子はいませんし、むしろ「無理矢理働かされそう」とネガティブに思われてしまいますから注意してください。

また当社が人事コンサルをすると、組織図、給与制度、評価制度(後の回で詳述)を作成しています。こうした資料を見せることで、求職者にちゃんとしている会社、将来を見据えている会社と感じて貰えることができます。

小さな会社に入社するときの一番の不安要因は何か?「潰れないかな?」というものです。そこの不安を払拭できる説明ができることはとても大切なのです。とにかく「うちの会社はちゃんとしているよ」ということを視覚的にアピールできることが大切なのです。これが決定率を高める何よりの秘訣です。

 

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4-1.企業理念は諸刃の刃

「当社の理念に共感してくれる人を採用したい」という外食経営者さんがたくさんいます。そうした経営者さんは採用面接で自社の経営理念について情熱を込めて熱弁されます。その言葉に感銘を受けて入社を決める応募者も確かにいます。

問題なのは、その理念が現場スタッフに行動レベルまでしっかりと落とし込まれているかどうか、です。実際に入社して現場に入ってみると社員の誰も理念を実践していないという状況が非常に多い。そうした現実に幻滅してすぐ辞めてしまうというケースも高い確率であるんですね。理念に共感して入社した人ほど期待と現実のギャップが激しく、早期退職につながりやすいのです。

後の回で詳しく説明しますが「企業理念」は作ることだけじゃなくて、それをスタッフに浸透させるための仕組みづくりとセットでなければ文字通り「絵に描いた餅」になってしまいます。

「理念に共感してくれる人」を採用したいのであれば、今いる社員に理念を浸透させることが何より大切で、理念浸透の仕組みづくりも当社ではお手伝いしています。

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5.履歴書なしOKで面接の敷居を下げる

「採用面接なのだから履歴書は持ってきて当然」と考える外食企業が多いと思いますが、当社としては履歴書なしでも構わないという立場です。理由は、面接までの敷居を下げて面接ブッチされる確率を下げることにつながるからです。とりわけ給料や福利厚生などで魅力ある待遇をアピールできない外食企業は履歴書なしがいいのではないでしょうか。

履歴書よりも面接者の理解が深まると考えているのが、当日に質問シートに記入してもらい、それをもとに質問する方法です。当社も独自に作成した質問フォーマット「6Lシート」を用意しています。項目は「自分の強み・弱み」「会社選びの基準」「当社への質問」などで各項目6つずつ箇条書きで出してもらうというものですが、学歴や資格に偏った履歴書よりも面接者の人柄を理解しやすいですし、何より内容のある面接になりやすい。

面接の回数は会社によって最適解が異なりますが、共通する点は内定までの期間が短いこと。1回で内定を出してしまえば次の面接までの間に他社にとられてしまうリスクを避けることができます。とにかくスピードが大切で、当社では応募の電話をもらってから最長で2週間以内に結果が出るスケジュールをつくるようアドバイスしています。

 

6.リファラル採用を活用しよう

近年の採用市場で注目が高まっている「リファラル採用」とは、既存社員から人材を紹介してもらう制度のことです。会社の労働環境や雰囲気を知っている社員の紹介のため、企業風土に適した求職者を集めやすいことがメリットに上げられます。

ただ「社員に紹介してほしいと言ってはいるけど、なかなか浸透しないんだよね」と悩む外食企業はけっこう多い。うまくいかない理由はいくつかありますが、「会社の本気が伝わっていない」「実例があっても知られていない」からです。

朝礼や会議時に伝えるだけとか休憩室に張り紙するだけ程度では社員は自発的に行動しません。また紹介してくれた場合でも、インセンティブが数万円程度だったり、全社員に向けて発信していないことが多く、それでは社内に広まりません。

当社では会社の本気度が伝わるインパクトあるインセンティブと周知施策を提案していますが、多くのクライアントが効果を上げています。その核となるのがインセンティブで、1人紹介したら紹介料20万円を支払うというものです。1人20万円と言うと最初驚かれる方もいらっしゃいますが、外食業界の採用単価は80万円以上と言われています。それと比較すれば紹介料20万円は1/4ほどで、むしろ激安であることがわかりますよね。しかも紹介する社員にとって20万円の臨時収入はインパクト絶大。社員も経営者も双方にとって大きなメリットになるわけです。

そして社内に浸透させるために欠かせないのは、とにかく事例をつくり、全社員に伝わるように発信すること。たとえば全社員が集まる定例会議の時に全員の前で表彰式さながらに紹介料を手渡しするなどが効果的で、「本当に20万円もらえるんだ!」と社員たちの目の色が変わります。当社と契約する企業の実績でいえば、リファラル採用の告知から2ヵ月以内に採用事例があれば、その後は年間5人はリファラル採用でまかなえるようになっています。

周知方法としては会社の本気をアピールすることが大切。休憩室等には文字だけの張り紙ではなく、デザイナーを起用したカラーポスターを貼り、給与明細の封筒に『社長からリファラルのお願い』と題した手紙を毎月入れたり、会議のたびに紹介のお願いをするなどして、絶えずメッセージを送り続けることが重要です。

 

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6-1.リファラル採用で社員にプレッシャーを与えてはダメ

リファラル採用に対して「有能な社員を採用しやすくなる」「定着率も上がる」といったプラスアルファを期待する方もいらっしゃいますが、当社としては「採用単価の抑制以上のことをリファラル採用に求めるべきではない」と申し上げています。

その理由は社員に「人材を紹介する」以上のことを幹部が期待していることを知られると、それがプレッシャーになって紹介数がガクッと減りかねないからです。万が一、リファラル採用で入社した人が辞めてしまっても、紹介者に責任は一切ありません。もし気にしているようであれば「おまえのせいじゃないから気にするな」と一言かけてあげるくらいの気遣いがほしいところです。

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7.新卒採用で大切なのは親への対策

ここまでは採用活動全般に共通の課題について述べてきましたが、新卒採用に特有の課題もあります。

それは「親ブロック」です(笑)。

(笑)と書きましたが、それが笑い事ではないことは外食企業の経営者であればご承知のとおりで、「苦労して大学まで行ったのに、外食企業に就職したいだなんて」と抵抗感をあらわにする親御さんがまだまだ多いのが現状です。

この親ブロック対策に有効なのが、ホームページと入社案内パンフレット。親御さんに見せた時に「ちゃんとした会社なんだな」と思わせる完成度の高いものを作成することがもっとも効果的なんです。単なるお店紹介のサイトではなく、福利厚生や研修制度といった労働環境や事業計画、経営理念といった要素がしっかりと書かれた媒体を見せることで親御さんの理解を得られやすくなるのです。入社を希望しているお子さまが「これ見ておいてよ」の一言で説得できるようなクオリティをぜひ目指してください。

これらの媒体づくりで気をつけないといけないのが「デザイン力」です。作ったものがただ写真と文字を並べただけのおざなりな仕上がりであれば、親御さんを説得できないばかりか、入社を希望する本人の期待感も削ぎかねません。親世代の外食企業に対するネガティブなイメージを払拭することが目的ですから、わかりやすさを保ちながらも先進性を感じさせるデザインでなければ意味がありません。当社では採用力を高めるためのパンフレットや企業ホームページのデザインも受けています。いくつかの事例を見ることができますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

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7-1.経営の多角化は採用戦略の面でも効果的

当社が顧問を務める外食企業の採用状況の違いで目立つのは、外食以外の事業にも取り組んでいる企業のほうが求職者に選ばれやすいようです。理由の1つは企業イメージの問題で、外食以外の事業も手がけている方が会社の印象が良くなります。当社の顧問先でもフィットネスやブライダルなどを手がけている会社では、新卒採用の実績も比較的好調です。また、複数の事業を手がけているということは、求人情報も複数の業種で登録できるため、それだけ求職者の目にとまる確率が上がることもメリットになります。

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8.会社説明会で失敗しないために

新卒採用の開始時期については、企業によって2月〜、4月〜、6月〜、9月〜とまちまちで、どれが正解というのはありません。当然、前になるほど優秀な学生と接触できますが、この時期は大手を含めた超優良企業の採用期間と重なっていますから、中小の外食企業が採用できる可能性はゼロに近いといっていいでしょう。また、9月は公務員試験の合否が出る月で、合格できなかった人が民間企業の就職先を探しはじめます。ここが最後の盛り上がり月といえるでしょう。

新卒採用では会社説明会を開催することになると思います。説明会への集客は外注することをお勧めします。新卒採用では、中途採用の約10倍は応募が来ますから、内部の担当者では対応しきれなくなるからです。その反面、エントリーした人が必ず説明会に来てくれるわけではありません。外注先を活用して事前確認してもらうなどの接触を試みないと、エントリー時は20人だったのが当日に来たのが2人だけだったなんてことがざらにあるのです。外注先を活用しても半数集まればまずまず成功と言えるほどですから、注意が必要です。

会社説明会の会場で、お勧めなのが自社の店を会場にしてしまうことです。現場の雰囲気がダイレクトに伝わりますし、いろいろな演出も制約なくできます。当社の顧問先でもまるでパーティー会場のようにデコレーションして説明会を実施した企業がありましたが、店舗数10店前後の企業に40人以上の新卒者が集まる大成功ぶりだったこともあります。

また説明会で大事なことは新卒入社の社員か、いない場合は20代の若手社員を連れて求職者と話す機会をつくること。学生たちが「自分がこの会社に入ったら1〜2年後はこんな感じなんだ」とイメージできると会社に親近感を持ってもらいやすくなります。

 

 

次回は「評価制度」についてお話します

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