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【成長し続ける企業になるための戦略】 第3回:採用戦略,理論編〜休日と福利厚生の設計〜

1.人材争奪戦の今でも人が集まる採用戦略とは

第3回のテーマは採用戦略ですが、解説することが多岐にわたりますので、前編と後編の2回にわけて説明します。前編では「理論編」として採用戦略の必要性をお話ししたいと思います。後編では実践編として応募が増える求人媒体掲載のコツや採用面接、中途と新卒それぞれの採用の違いなどを指南します。

第1回「組織図」、第2回「給与設計」に続いて第3回で採用戦略を解説する理由は次の2つです。

①外食業界において企業成長のボトルネックとなっているのが「人材不足」。労働環境整備を含めて本気で取り組まないと、会社の成長が止まってしまう。

②企業の労働環境整備の順番として「組織図」「給与設計」に続いて整備したい「福利厚生」の重要性を理解してほしい。

そもそも組織、給与、休日、福利厚生の4つの労働環境が整備されていなければ、いくら募集をかけても応募すら来ない状況の外食企業が増えています。日本では今後、労働生産年齢の人口が増えることはありませんから、若い世代の労働力を確保し続けることができるかどうかは企業存続の死活問題でもあるのです。そんな時代に対応できるかどうかが企業の生き残りにかかっているといっても過言ではないのです。

 

2.求職者の判断基準は「給料」「休日」「福利厚生」

身も蓋もないことを言ってごめんなさい!採用活動で成果を上げる最重要項目は「給料」「休日」「福利厚生」の3つ。求職者はこれらが充実している会社から応募していきます。

このような話をすると多くの外食企業の社長さんはきまって反論されます。「給料や休みが目当てな人は外食は向いていない」「外食業には、給料や休みでは得られない働くやりがいや人間的な成長がある」と。私もそこが外食で働く魅力であることは十分理解しています。

しかしながら、そうした魅力は求人媒体の限られたスペースに書かれた説明で理解してもらうことは不可能ですし、実際に働いてみないと実感できないものであることも確かなのです。

やはり多くの求職者は、他よりも給料が良かったり、休日がとりやすかったりといった条件面からチェックしていきますから、労働環境の整備は採用活動においてとても重要なポイントなのです(もちろんこれらは入社後の定着率向上にも大きな役割を果たすようになります)。

3.採用戦略でも「競合リサーチ」が大切な理由

さて、外食企業の採用では近隣地域に住む人からの応募が大半を占めますから、同じ地域の外食店よりも優位な条件を提示することが採用で勝つ秘訣になります。そこで競合店のリサーチが大事になってきます。

多くの外食企業では商品開発や業態開発のために競合店リサーチをしていますが、採用活動のために競合店リサーチをしている企業となると、とたんに少なくなります。いつも「せっかくのノウハウを生かし切れてないなあ」ととても残念に思うのですが、逆に考えればちょっとの努力で競合店に勝てるチャンス。ぜひとも実践していただきたいと思います。

競合企業の採用戦略についてリサーチするポイントは表の13項目です。これを自社の数字と比較することで、立ち位置が明確になってきます。たとえばA社は給料は高いけど休みが少ない、B社は給料は低いけど福利厚生を充実させているといった具合です。

ここで申し上げておきたいのが、すべての採用条件で競合企業に勝たなければいけないと言っているのではないということです。大切なのは「勝っている部分を強みとしてアピールし、負けている部分はどうカバーしていくか」を考えることです。

たとえば初任給が競合より1万円低いからいい人材が採れないというわけではありません。応募してくる人たちも、高い給料がほしい人、休みが多いほうがいい人など優先する条件が1人ひとり異なりますから、休日や福利厚生で他社より優れた条件をつくってカバーするという対応を考えれば、給与額より労働環境を優先したい人から選ばれやすくなるというわけです。

 

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3-1.給与設計をする前に競合店リサーチをしておくとよいでしょう

給与設計の回で言い忘れましたが、採用活動向けの競合店リサーチは給与設計をする前にしておくとたいへん役立ちます。というのも、給与額の相場は地域によって異なります。前回お勧めした初任給25万円は全業種の採用市場を視野に入れた額ですが、そこまで出せないとしても地域の給与相場よりも高めに設定すれば応募が増える確率が高まるからです。

当社ではコンサルタント先の企業さまには最低でも4社は調べていただくようお願いしています。リサーチすべき競合企業の選び方についていうと、①同じエリアに展開している、②ターゲット客層や価格帯(つまり業態)が近い、③社員のキャラクターが近い、④会社の規模が近いなどです。こうした会社、求めるスタッフ像が似通ってることが多いですから、条件面で負けてしまうと採用に大きく影響してしまうのです。

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4.休日・休暇は少なくとも年間トータル100日必要

外食業界に限らずサービス業全般に言えることですが、休日が年間100日未満の企業が圧倒的に多い。しかし労働市場全体を見わたすとメーカー勤務などのホワイトカラーの休日の最低ラインは110日で、標準的な休日数は130日前後です。いわばホワイトカラーの会社員はサービス業の社員と比較して1カ月も多く休めるわけで、これも外食業界が選ばれない大きな要因です。

たとえば就職活動中の学生たちは、どんな業種であろうと週休2日、祝日も休み、夏休みと冬休みも当然あると普通に思っています。もっと言えば残業なし、ボーナスは出て当たり前、毎年給料も上がっていくなんて思い込んでいるわけです。さすがにそんな勤め先は地方公務員くらいしかありませんが。。。

いきなりホワイトカラーなみの休日を設定しようとするのは経営的に無理がありますが、当社のクライアントには休日と福利厚生(有給休暇)を合わせて100日は休めるように努力していただいています。

休暇については、次に説明する「福利厚生」の中で説明しますので、ご覧いただきたいですね。

 

5.福利厚生はトータル20項目を目標に設定しよう

福利厚生はおおまかに①手当、②休暇、③イベントの3つに分類することができます。採用で勝つポイントは福利厚生の数が最低20項目はあること。これまで●社の採用をお手伝いしてきた経験上、福利厚生が20項目を超えるとぐっと応募が増えてきます。福利厚生20項目の一例を表にしてみましたので参考にしてください。ときどき「20項目なんて多すぎる」という反応をされる方もいますが、これまでも実施しているのに福利厚生としてアピールしてなかった項目もあると思います。「社保完備」や「交通費支給」といったものも福利厚生に入りますので、どんな小さなものでも入れていきます。イベントであれば「お花見」とか「バーベキュー」とかも含めて構いません。小さなイベントでもたくさんあることが伝われば和気あいあいとした会社の雰囲気が伝わって応募につながることも多いのです。

 

福利厚生20項目事例表(★…必ず設定すべき項目)

6.①手当:「家族手当」「住宅手当」は必須項目に

給与設計の回でも触れましたが、手当で欠かせないのが「家族手当」と「住宅手当」の2つです。その理由は、求人サイトの条件検索項目に必ずあるものだからです。その他はつけられるのであれば1つでも多いほうがいい。ソムリエなどの資格手当、スタッフ紹介制度なども手当に組み入れてもいいでしょう。

ちなみに当社の家族手当はゴールデンウィークと夏休みに1万円×家族の人数分を支給しています。ただし用途に縛りをつけていて、ワンランク上の贅沢をすること。グリーン車両を利用するとか、グレードの高いホテルに宿泊するといった具合です。上質なものを知ることは仕事のクリエイティビティを上げることにもつながりますからね。外食企業であれば、普段行かない高級レストランでの食事に使うなど、数値化しづらい経験値アップを促すことに使うといいでしょう。

 

7.②休暇:夏休みがあるだけでも大きく違う

外食に限らずサービス業全般に言えることですが、ゴールデンウィーク休み、夏休み、冬休みというものがないのが常識になってしまっています。サービス業にとっては、そうした時期こそ書き入れ時ですから当然といえば当然です。

それでも時期をずらすなどして3日でいいから設けるべきです。それだけでも社員の満足度はかなり上がりますし、面接時の待遇説明でも説得力ある説明ができます。3日が難しいようでしたら休暇2日と通常休み1日を合わせて3日休めるようにするといった方法でも構いません。それくらい「GW休み、夏休み、冬休み」が求人票に書いてあるかどうかの違いは大きいですね。

加えて、お勧めしたいのが「誕生日休暇」です。近年、業種の垣根を越えて導入する企業が増えていて、あと2〜3年もすれば週休2日制と同じくらい当たり前になると当社は考えています。

 

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7-1.ユニーク休暇で読む人の関心を引くのもアリ

もうひとつ、通常ありえないようなユニークな休暇を設定するのも手です。手前味噌ですが当社では漫画「ワンピース」の単行本発売日は社員全員が休みとなる「ワンピース休暇」を定めています。求人広告の福利厚生の欄に「ワンピース休暇」と書かれていたら「ワンピース休暇ってなんだ?そんなユニークな休暇をつくる会社ってどんなところなんだろう?」と思わず興味を持ってしまいますよね。こうした見せ方も応募を増やすテクニックのひとつです。

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8.③イベント:数が多いほど仲の良さそうな会社をアピールできる

手当、休暇で20項目に届かなかったぶんをイベントで補っていきます。「誕生日会」「忘年会」のような飲み会を項目化しても構いません。イベントとは言えない項目ですが「社会保険完備」「健康診断」も基本的な福利厚生ですから、欠かさず明記しましょう。まだ規模の小さなうちは整備されていない会社が多いようですから、差別化につながります。

求人サイトでいちばんアピールしやすいイベントとしてお勧めなのが「社員旅行」「運動会」「社内表彰制度」の3つです。

ただし社員旅行では「非日常」を実感してもらえる旅行を企画しないと逆効果。こんなところ行ったことないと言われるような内容のものであれば日帰りでもいいくらいです。非日常を仲間と体験できることが、社員同士の連帯感を強くしてくれるのです。たいした楽しみもないスケジュールで旅館のグレードも低いところでは、やるだけ無駄だと思っていただいていいでしょう。社員旅行って何十万も百万円以上もコストがかかるもの。それだけお金をかけてその後の仕事ぶりに効果が期待できないなんてもったいないですよね。

運動会は、社内イベントの中でいちばん盛り上げると言ってもいいでしょう。規模の小さな会社なら仲の良い近隣企業にも声を掛けて合同でやのもお勧めです。その時に大事なのが企画運営をイベント会社に依頼することをお勧めします。運動会は会場設営など準備が煩雑ですから日常業務をこなしながらやるには負担が重いんです。中途半端なイベントとなってしまうと悲しいくらい盛り上がらない結果になりかねません。イベント会社に依頼すれば100万円くらいのコストで立派なものができます。

アワードなどの社内表彰式はES(従業員満足度)を高め現場の士気を高めるイベントととして強くお勧めします。店長、社員、パート・アルバイトそれぞれの日々の頑張りを称讃する文化があること、社員の承認欲求を刺激する場があるとないとでは日々の仕事の取り組み方が変わります。そのような取り組みをしていることは仕事にやりがいを求める求職者にとっても強い〝引き〟になることは間違いありません。

 

次回は「採用戦略:実践編」をテーマに、求人広告の作り方や面接、新卒採用などのポイントを解説していきます。

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